【グラフ】日本株急伸のきっかけ
日本株が好調だ。
米国株と比べても上昇ペースが速いが、今回のこの好調さのきっかけは何だったろう。
それは、過去半年の日本株、米国株、ドル円相場を並べてみれば明らかだ。
相場のドライビング・フォースを見誤らないよう復習しておこう。
TOPIX(罫線)、S&P 500指数(青)、ドル円(黄)(6月30日からの変動)
9月上旬までは従来と同じく円高ドル安・日本株安の傾向が見られる。
米国株の上昇によって上に引っ張られるものの、円高ドル安によって下に引っ張られる。
お馴染みの傾向は9月上旬にドル円が107円で底を打つまで続く。
次の流れは10月中旬までの円高ドル安の巻き戻し期である。
ドル高によって日本株は息を吹き返し、米国株に追いついていく。
2週間でドル高が終わり、ドル円が落ち着くと10月半ばまで日米株価は寄り添って動く。
10月半ばから日本株は顕著に米国株をアウトパフォームする。
これは、為替では説明できない。
何がこの時にあったのか。
10月10日にIMFによるWorld Economic Outlookが公表されたのがきっかけだろう。
IMFの10月の見通しには幅広い世界経済の改善が表れている。
欧州ほどではないものの日米の経済も上向いているとされた。
これが世界の投資家の心理を改善していったのは、私たちが感じてきたところだ。
すでに米国株は史上最高値を試し続けており、バリュエーションにも割高観が拭えない。
また、米国ではFRBバランスシート縮小の影響について見通しにくい面もある。
多くのセルサイドのストラテジストも米国株より日欧の株式を推奨している。
実際、日本株に現状割高感があると考える人は極めて少ない。
足元の企業収益が堅調だからだ。
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