【メモ】IMF:でこぼこ道が待っている

IMFは3日「国際金融安定性報告書」を公表した。
世界金融危機から10年が経ち、規制・政策面で多くの前進があったとしながら、いまだ多くのリスクが存在すると指摘している。

「政策立案者や投資家は金利上昇や市場ボラティリティ上昇に順応しなければならない。
中央銀行は緩やかな金融政策正常化を継続し、明解なコミュニケーションに心がけなければいけない。
一方の政策立案者は、マクロ・プルーデンスのツールを用い開発することで脆弱性に対処すべきだ。」

IMFが政府や中央銀行に注文を付けている。
IMFは今後世界経済が「でこぼこ道」を行かなければいけないと表現。
そこに勝ち構えるいくつかのリスク要因を列挙している。

  • インフレの上昇
    「インフレ上昇は、現在予想されている以上にアグレッシブな対応を中央銀行に強いるかもしれない。
    そうなれば、金融環境は急激に引き締まる。」
  • 資産価格
    「リスク資産のバリュエーションはいまだに伸びきっている。
    流動性のミスマッチ、レバレッジ、その他の要因が資産価格の変動やその金融システムへのインパクトを増幅してしまうかもしれない。」
  • 新興国市場
    「新興国市場のファンダメンタルズは概して改善しているが、世界の金融環境が突然引き締まるようなことがあれば脆弱になりうる。」
  • 銀行システム
    銀行のバランスシートは危機後に強化されてきたが、システムの一部に構造的な米ドル流動性のミスマッチが存在し、それが脆弱性を高めうる。
    ・・・
    先進国ではいまだに体力の劣る銀行の中にバランスシート強化の必要がある銀行がある。
    そして、一部の国際業務を営む金融機関では、ドル流動性ミスマッチを抱えている。
    金融市場で突然混乱が続けば、これらミスマッチが露呈し、ドル調達が難しくなるかもしれない。」
  • 仮想通貨
    「仮想通貨資産は市場の効率を高める性質を有している可能性もあるが、レバレッジを用いたり、適切な安全策なしに用いるとリスクにもなりうる。
    ・・・
    仮想通貨資産は詐欺、セキュリティ侵害、運営失敗に悩まされてきており、非合法な営みにも関与してきた。」

この他、本報告書では1章を割いて、企業向け与信がリスクの高い経済主体において積み上がっていないかを検証している。