【書評】フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く

いまさら書くまでもなく、極めて高い評価を受けている著書だ。
著者のラグラム・ラジャン教授はインド出身でシカゴ大学教授。
IMFでチーフエコノミストも経験したほか、さまざまな公職にも就いている。

2010年に書かれたこの本は、リーマン・ショックだけで終わらない世界的な経済危機を予言している。

危機をもたらす原因を大きく3つの断層:
 ・国内政治(特にアメリカ)の歪み
 ・多国間の貿易不均衡
 ・貿易不均衡の是正のために起こる異種の金融システムの軋轢
と見立て、説明は進んでいく。

経済、歴史、政治、人間の生態に至るまで、広角の分析眼には舌を巻く。
インドは賢人の産地だとつくづく思い知る。