バイロン・ウィーン:株式市場にはチャンスがある

ブラックストーンのバイロン・ウィーン、ジョー・ザイドル両氏による24日配信の第4四半期ウェビナー

両氏のスタンスはさらに慎重になっている。
インフレの先行き、金融政策・金利、景気・企業業績に対して弱気を強めている様子。
健全な強気を貫いているウィーン氏にしても、現在の経済環境は楽観を許さないのだろう。
ディレーションの短い資産クラスを奨めていた。

ウィーン氏のDDMマトリックス(金利と株価の均衡表)も弱気な先行きを裏付けていた。
S&P 500のEPSを今期220、来期225程度と仮定し、米10年債利回りを4%+とすると、指数は3,000を割り込む。
同氏は、それを予想しないものの、3,000まで下落する脆弱性があると指摘していた。

これは24日終値3,797.34から見て21%の下落にあたる。
もう1回弱気相場が襲うといった下げだ。
S&P 500は2021年12月に4,766.18で終値ベースのピークを打っている。
ここから見ると37%の下落だから、弱気相場としてはむしろ控えめかもしれない。
同指数が3,000超で定着したのは2020年6月だから、まだ生ぬるいと感じる人がいてもおかしくない。
足下のインフレは、2020年まで戻れば収まるようなものなのか、という具合だ。

ウィーン氏の語り口は相当に慎重だ。
それほどインフレをともなうサイクル終期とは困難な時期なのだろう。
前回のインフレをともなう終期が1980年代初めとすれば、40年ぶりのことになる。
当時インフレと相場の両方に正面から対峙した人の大半は60歳を超えている。
ほとんどの人は経験がなく、おそらく知識さえない。
経験者でさえ、物忘れと思考力の衰退に悩み始める年齢を迎えている。

今年89歳になるウィーン氏も、お身体がだいぶお爺ちゃんになった。
ただ、頭脳・気力について心配させるところは見られない。
今回のウェビナーでも、進行のザイドル氏がウェビナーの終了を宣言しようとすると、ウィーン氏が一言言わせろと割り込んでいる。

私は株式にチャンスがあると考えている: 企業向けソフトウェア、旅行、レジャー、エネルギーだ。
さらにフィクスト・インカム分野: デュレーションの短い債券・ディレーションの短い投資だ。
ポートフォリオにオルタナティブを入れることを恐れてはいけない。
この先、よく報われると思うよ。

また、それに続いたザイドル氏のメッセージも含蓄のあるものだった。

エントリー、バリュエーションが結局は長期パフォーマンスの最も重要な決定要因になる。

ザイドル氏の「長期」とは5-10年を想定したものだ。
同氏は、このウェビナーを通して、長期的スタンスを強調していた。
それにはいくつも理由があるのだろう。
想像するに

  • 短期で高確率で好パフォーマンスを上げるのが難しい環境にある。
  • 資産価格が下がれば、恰好のエントリーの好機になる。
  • その時に頼れるのは、賢明に練られたファンダメンタルズ予想。

といったところか。
マーケット・タイミングが困難であることを認めるなら、いつ買うかは、やはりファンダメンタルズによるしかないのだろう。