ピーター・シフ:異次元緩和が日本の共産化を招く

父から受け継ぐ小さな政府

ピーター・シフ氏の父、Irwin Allen Schiff氏は先月16日に亡くなった。
なんと獄中死だった。
その罪状は脱税。
しかも、所得税を不当とする社会運動として行った脱税だった。

そうした生きざまは、2006年のアーロン・ルッソ監督による米ドキュメンタリー映画『America: Freedom to Fascism』でも取り上げられた。


アーウィン氏は本も著している。
The Federal Mafia(1992年)である。
獄中で書いたこの本でアーウィン氏は米国の所得税とIRSを違法と批判している。
驚くなかれ。
この本、なんと発禁処分を受けているのだ。
米史上、発禁となったのは2冊だけ。
もう1冊は、(1748年著、1821年発禁)のFanny Hillで、猥褻な内容であったためのものだ。

軸のぶれない共和党員

アーウィン氏の社会運動は、小さな政府という方向につながるものなのだろう。
父親に比べればだいぶ手法が穏やかだが、ピーター氏にも同じ小さな政府への思いが流れている。
2008年には、共和党内の大統領選候補の経済顧問を務めた。
2010年には、コネチカット州の共和党上院議員候補の席を争って出馬し敗退している。

こうした背景を知った上で、シフ氏の発言をどうとらえたらよいか。
この人、決して軸がぶれない。
結論はいつも同じ。
つまり、論点の変化を捉えていけばいいのであろう。
程度の差こそあれ、ポジションを取る勇気のあるエコノミスト/ストラテジストなら、こうした認知の歪みを持っているものだ。