【書評】ミスター円の2冊のアンチ成長戦略論
試される政治の力
破綻シナリオについては、政府の累積赤字が主に家計の貯蓄で支えられてきたことを説明した上で、こう警鐘を鳴らす。
毎年GDP比8%前後の赤字を出し続ければ、いずれ、この構図が崩れることは前述したとおりです。
家計の貯蓄率は2%まで低下しているのですから、いずれ累積財政赤字が家計の金融資産残高を上回ってしまうからです。
榊原教授は、日本が破綻を回避するためには消費増税が不可避とし、財政赤字の解消のためにはいずれ消費税率を20%超に引き上げざるを得ないと試算している。
経済がよくなったと自画自賛しながら、たった2%の増税も約束どおり実施できない日本の政治が、はるかに遠い最低条件をクリアする日が来るのだろうか。