書評: 間違いだらけの経済政策


あまりに品のないタイトルなので、興味はあったが、買わないでおいていた。
短い旅行に出ることがあり、時間つぶしに買ってみた。

この本の主張はかなり固い話だが、びっくりするほど読みやすい。
 ・経済への知識のある人なら、含蓄深く
 ・経済への知識のない人にも、面白く
タイトルどおり、固い話を面白おかしく書いている。

元閣僚や経済学者など、実名を挙げて、言動・政策が誤りであったと明言する歯切れのよさ。
あたかも、唯我独尊を唱えたいかのようだ。
(実際そうなのだろう。)
そう感じられても、主張自体の説得力からか、違和感を感じないところに著者のすごさがある。

今般の景気停滞が始まるまで、日本経済は、過去最長の景気拡大を享受した。
にもかかわらず、ゼロ金利政策をとったことを、著者は強く非難している。
これに賛同する人は多い。
金融危機をゼロ金利で迎えていなければ、日本政府や日銀は、もっと打ち手があったはずだと悔やむ向きは多い。

この本を読むと、軽々に「デフレ」という言葉が使えなくなる。
そんな力のある本だ。