【輪郭】日銀のETF買いが示唆する投資戦略

日銀がETFを買い続けている。
年間約6兆円という莫大な買入れがほぼ保証されている中、投資家はどのような投資戦略で臨めばいいだろうか。

読者が投機や短期売買を専門にしているなら、本記事はほとんど役に立たない。
弊社は日本株の長期投資とマクロ関連投資を主戦場としており、投機や短期売買のノウハウは有しない。
仮に日本株に長期投資で臨むとすれば、投資家は二者択一を迫られることになる。

  • バリュー投資で低めのリターンを甘受
  • リスクをとってグロース投資

グロースを狙うなら、日銀のETF買いなど大きな要因ではなかろう。
そこで、ここではバリュー投資で細く長く稼ぐ方法を提案したい。

株価指数採用銘柄は買いか?

証券会社はこんなことを言うかもしれない。
「この銘柄は株価指数採用銘柄だから、日銀のETF買いで上昇圧力がかかっている。」
こうしたセールス・トークが間違っているとは言わないが、正確とも思えない。
足元の需給要因など、それこそすでに織り込み済みと考えた方がいい。
問題は、織り込まれていないかもしれない遠い将来の需給悪化だろう。
投資家は次の3つを自問するといい。

  1. 日銀の異次元緩和には終わりが来るだろうか。
  2. あるいは、日銀がバランスシート縮小を行う時が来るだろうか。
  3. あるいは、日銀がテーパリングに着手する時は来るだろうか。

もしも、あなたが異次元緩和は永遠に継続すると考えるなら、それは日本経済の永続的停滞を意味しかねない。
その場合、そもそも日本株に投資すべきとは思えない。
もちろん、債券も預金も同様だ。

ETF買いの巻き戻しは見えない天井に

つまり、日本株に長期投資するなら、いつか少なくともテーパリングを覚悟しなければいけない。
テーパリングが行われる場合、ETFはテーパリング対象として決して低くない優先順位とされるだろう。
ETFの買入れが減額・停止されると、株価指数採用銘柄に織り込まれていたプラス要因が剥落することになる。
さらに、それは将来の売り戻しを連想させ、株価に見えない天井を形成するかもしれない。

日銀が保有するETFを売り戻す際には、どのような手法がとられるのだろうか。
場で売りに出せば、各銘柄の価格形成を大きく歪めかねない。
ETFを括った投資信託を生成し売却するなど、細心の注意が払われるはずだ。
しかし、それでも原ETFが実質的に売却される以上、株価指数採用銘柄には相対的にマイナスの需給要因が生じる。
日銀がETFを売り切りまで、こうした連想が投資家の頭に居座ることになる。

(次ページ: ゲタを履いていない資産を買え)

経済

前の記事

【書評】日本経済入門