【グラフ】景気サイクル終期のコモディティ価格

過去60年弱を米長期金利がピークをつけた1980年頃で分けて見てみよう。

金利低下局面

米コモディティ生産者指数(青)と米株価(赤)(1960年1月=1とし自然対数化)と米長期金利(緑)(1980年以降)
米コモディティ生産者指数(青)と米株価(赤)(1960年1月=1とし自然対数化)と米長期金利(緑)(1980年以降)

この間、趨勢的にコモディティ価格も株価も上昇している。
その上昇ペースは株価が早く、下落・調整が入ってもしばらくして取り戻す力強さだ。
一方、コモディティ価格の上げは相対的には緩やかだ。

興味の対象は景気サイクル終期の投資対象としての有効性だ。
株価は景気後退期入りに対し先行して下落が始まるのに対し、コモディティ価格はやや遅れる。
その意味で、サイクル終期の投資対象として有効と言えるが、上げ幅は取り立ててワクワクするほどではないかもしれない。

金利上昇局面

米コモディティ生産者指数(青)と米株価(赤)(1960年1月=1とし自然対数化)と米長期金利(緑)(1980年以前)
米コモディティ生産者指数(青)と米株価(赤)(1960年1月=1とし自然対数化)と米長期金利(緑)(1980年以前)

これを見ると、景気サイクル終期でのコモディティの優位性が感じられるのではないか。
株価が下落を始めると、それと逆相関して上昇するさまが見える。
多くの投資家が今コモディティを推奨する背景には、こうした理由があるのだろう。
つまり、この推奨の前提は、インフレ・金利が上昇局面に遷移するということかもしれない。

本分析はドル建てによる資産価格分析であることに留意されたい。
円建てや日本株については異なるインプリケーションとなりうる。


阿久津 り子 大手電機メーカー、公的研究機関にて電気・電子分野の研究開発に携わった後、浜町SCI調査部にて技術・計量分析を担当

本コラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。本コラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。本コラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。本コラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。本コラムはコラムニストの見解・分析であって、浜町SCIの見解・分析ではありません。