【メモ】終戦直後の財産税
いわゆる「終末論者」が注目するのは新円切替だけではない。
1946年の財産税法もまた、国が国民の財産を収奪する方法として注目されている。
財産税法は税率の極めて高い税徴収
財産税法の原典は国立公文書館のサイトで検索・閲覧できる。
これを読むと、この財産税は10万円超の財産に課税される。
最少の税率は25%、最大は90%(1,500万円超)にも上る。
気になるのは10万円という金額がどのようなものかだ。
今の金額にすればいくらぐらいなのか。
財産税法とセットで行われた預金封鎖・新円切替では、標準世帯生計費を500円と置いている。
この500円という数字はおそらく小さすぎる数字だと思うが、仮にこの数字を使えば、10万円は世帯の生活費の17年分ということになる。
これは今の金額でどれほどだろうか。
今の金額にして6,700万円超の資産に課税
総務省「家計調査」平成23年12月分速報によれば、世帯あたりの消費支出は327,949円である。
これは年393万円、17年で6,700万円になる。
この金額をどう見るか。
純資産6,700万円超について財産税を課すというなら、あながちやりすぎとは言えないかもしれない。
中流家庭の人間は、この金額は持っていないだろう。
究極の富の再分配策として、この程度の財産税はありうるかも知れない。
課税対象の範囲に海外資産は含まれるか
最後の興味は課税対象ではないだろうか。
同法第4条には
調査時期において有していた財産の全部に対し、財産税を課する。
とある。
同法を読む限り、いくつかの除外項目、控除項目こそあれ、海外資産を除くというような記述は見当たらない。
当時の状況を考えれば、海外資産を日本政府が補足できたとは思えず、脱税も可能だったろう。
だからと言って、今の日本でも海外資産が安全だと考えるべきではない。
なによりも、納税は国民の義務なのだから。
さらに言えば、日本はすでに多くの国と租税条約を結んでおり、日本政府が日本人の資産を補足することも不可能ではない。
また、今の政府の置かれた状況を考えれば、外国政府の管理下にある銀行に資産を預けることが安全なのか。
仮に脱税の罪を犯すにしても、資産を日本政府にゆだねるか、外国政府にゆだねるか、究極の選択の話に過ぎないのだから。