バイロン・ウィーン/ジョー・ザイドルの2023年びっくり10大予想

ブラックストーンが、バイロン・ウィーン、ジョー・ザイドル両氏による「2023年のびっくり10大予想」を公表した。
同予想はモルガン・スタンレー時代の1986年、ウィーン氏が始めて38年目となる。

ここでの「サプライズ」の定義は、
平均的な職業的投資家は1/3程度の確率でしか起こらないと考えているが、両氏は1/2超の確率で起こると信じている事象
とされている。
以下が市場目線の注目点:

  • FRBはインフレとの「綱引き」を続け、FF金利はPCE物価指数を上回り、実質金利はプラスに転じる。
  • FRBはインフレ退治に成功するが、マイルドな景気後退で企業収益は圧迫される。
  • 市場は年央までに底を打ち、2009年に匹敵する上昇を開始する。
  • 暗号資産がシステミックな事象ではないことが明らかとなり、MMTは完全に信用を失う。
  • FRBは他中銀に比べるとタカ派的でドル高が継続するため、ドル・ベースの投資家の日欧の資産への投資がチャンスに。
  • 中国が西側との通商関係再構築に努め、実物資産・コモディティにプラス影響。
  • WTIは50ドルにタッチするが、2023年以降には100ドルもある。
  • ウクライナ・ロシア間で領土分割の交渉が始まる。

  • 興味深いのは、例年と異なりほとんど数字が明記されていないこと。
    昨年の8%インフレなど、数字で言い当てるのが不可能な状況がしばらく続くとの考えなのだろう。

    ウィーン、ザイドル両氏は、このびっくり大予想に先立ち、昨年の大予想の答え合わせをしている。
    変化を感じとるのに有用かもしれない。

    昨秋、2022年のびっくり10大予想を起草した時、市場が厳しい年になることで意見が一致した。
    市場PERは20倍と、決して株式のエントリーポイントではない。
    インフレは問題。
    パンデミックの間に米経済システムに注入された莫大な財政・金融の流動性を打ち消すためFRBは金融政策を引き締めるだろう。
    ・・・
    ロシアのウクライナ侵攻など予期せぬ世界的事象もあったが、私たちは市場が割高で直面しうる逆風への準備ができていないと確信していた。

    注: 太字は浜町SCIが付した。

    これが昨年の大予想の頃の両氏の感覚であり、かなり悲観的なものだった。
    一方、今年は「2009年に匹敵する上昇を開始」と予想するなど、底打ちと長期的な反転を予想する部分が多くなっている。
    とは言え、底打ちの時期を「年央まで」とするなど、少し幅を持たせているのにも注意したいところだ。