リバランスとドライパウダー確保を進めるウォーレン・バフェット

ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが、ポートフォリオの一部現金化を進めている。

バークシャーの第2四半期10Qによれば

(百万ドル) 2024年6月末 2023年末
現金等価物 36,884 33,672
短期国債 234,618 129,619
小計 271,502 163,291
株式投資 284,871 353,842

 
株式が689億ドル減り、現金+短期国債を1,082億ドル増やしている。
(6月末はまだ株高だったから、株式の減少分の方が小さいのも理にかなっている。
実際には689億ドルより多く減らしたが、株高により689億ドルしか減らなかったのだろう。)
手元現金は過去最高。
6月末の2,715億ドルは1ドル146円で換算しても39.6兆円と計算される。
今年度の日本政府の一般歳出が67.7兆円だから、大きな大きなお財布だ。

主要な保有銘柄(時価ベースであり、株数ベースではない)では

(時価、億ドル) 2024年6月末 2023年末
アメリカンエキスプレス 351 284
Apple 842 1,743
バンクオブアメリカ 411 348
コカ・コーラ 255 236
シェブロン 186 188

 
Apple株を大きく減らしているほか、最近ではバンクオブアメリカ株も一部売却している。
もちろんこうした一部売却を弱気サインと受け取るのは早計だ。
Apple株は大きく実りエクスポージャーも突出したから、当然ながらリバランスも必要になってくる。
また、バンクオブアメリカ株については、規制を課される持分10%を切っておきたいとの意図だろう。

そうはいっても投資会社とは《投資してナンボ》の存在だ。
実際、バークシャーはバランスシートの強さで知られる一方、莫大な現金の使い道にいつも苦慮してきた。
バフェット氏がGoサインを出せるようなチャンスはそうそう転がっていないからだ。

手元現金を1,082億ドル増やし2,715億ドルへ。
仮に市場を牽引してきたApple等大型テック株がまだ上昇すると見るなら、ここまで手元現金を積み上げたりしないだろう。
少なくとも、他に相対的に魅力的な投資先を見込まない限り、ありそうにない話だ。
現在、Apple等に変わる新たな牽引役、しかもこれほど大きな金額規模の投資先をイメージできるだろうか。
相当に難しい注文だ。

やはり確率の高い解釈としては、ある程度の株価下落を見込んでいると捉えるべきなのだろう。
つまり、今回のバークシャーの動きは、多くのバフェット・ウォッチャーにとって売りシグナルと映るのではないか。

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