国債暴落のシナリオ検証(1)預金封鎖・新円切替・財産税は怖くない
3月国債暴落説を唱える「終末論者」が増えているという。
ハルマゲドン好きの自称評論家が唱え、増税応援団が世論作りに利用しているように思える。
結論から言えば、3月前後に国債は暴落しないと予想する。
それを説明する前に、終末論者が恐怖を煽るために使う言葉、
・預金封鎖・新円切替
・財産税
が現在の文脈では恐れる必要のない点を述べておこう。
戦後まもなく起こったこと
日本は第二次世界大戦で国富の4割以上を失い、戦後、大幅なインフレに見舞われている。
戦後の後始末のために財政支出が膨らみ、銀行融資も命じられた。
金融機関に預金が不足するなかで日銀貸出が原資とされた。
こうして、マネーサプライが膨張する中、価格統制による公定価格と闇市などでの実勢物価は乖離していく。
1946年2月、政府は「経済危機緊急対策」を発表し、翌日実施された。
経済危機緊急対策の2つの柱の一つである金融緊急措置令では、以前取り上げたように
・預金封鎖・新円切替
・財産税
が行われた。
現在との類似点・相違点
類似点としては、なんと言っても政府債務が積み上がっていることだろう。
戦中・戦後、どんどん増えていった国債と戦時補償債務だけでも、国家財政は立ち行かない状況だった。
一方、相違点は公共・民間のインフラ・国力の状況であろう。
1946年の経済危機緊急対策は、あくまで(国富の4割以上が失われるような悲惨な)戦争の後に起こったものだ。
国土が爆撃され、日本がボロボロになった時に起こったことである。
現在の日本は、震災という予定外の災害に見舞われたとは言え、戦後とは比べ物にならないほどのインフラを備え、国力を持ち得ている。
財産税の及ぶ範囲はお金持ちだけ
以前、1946年の財産税のかかる最低純資産額について考えた。
ひどく粗い推算として6700万円ぐらいではないかとし、それならあってもいいと論じた。
今、仮に財産税をやるなら、最低額はもっと高く設定されるだろう。
(あるいは、税率を低く設定される。)
とすれば、標準的な家庭には関係の無い水準だ。
総務省の家計調査を見れば容易に推測できるのだが、富というのは偏在している。
財産税を金持ち狙い撃ちで課すというなら、それは
究極の富の再分配
格差問題へのドラスティックな解
といえるのではないか。
なにしろ、財産税は、
所得税のようなタイミングに根ざす不公平がない
消費税のような逆進性がない
富のストックに対して超累進性を持つ
という性格を持ち、国民の人生の機会均等に寄与するように思う。
本当に恐ろしいのはインフレ
戦後の物価安定策は効を奏したのだろうか。
否、である。
経済危機緊急対策を講じてもなお、戦後の日本は大きなインフレを克服できなかった。
「戦後インフレーションとドッジ安定化政策」(高木信二ら)の図2では、1949年ごろの消費財物価指数が終戦直後の8倍前後に及んでいたのが見てとれる。
インフレの結果、結局は戦前から保有されていた現金・債券などは紙くず同然になったと言われる。
煎じ詰めれば、私たちが恐れるべきは、
・預金封鎖、新円切替、財産税などではなく
・大幅なインフレにある
と見るべきなのである。
政府や日銀がリフレ政策を強める中、私たちが考えるべきは、
インフレ転換が何を引き起こすか
である。